心の影

で、ついでに、じゃなくって、こっちが本命。amazon ポチっとなしちゃった。(昨今ではamazonにお支払いする金額よりも、読破する時間の方が貴重なわけだが・・・)
本当は「皇帝・・」を読んだあとすぐにでも読みたかったのだが、なかなか邦訳されず、気づけば社会人になって邦訳が出ていることにすら気づいていなかった。原著は1994年発行、もはや12年の時間を越えて対面する事自体がSFだ。
冒頭のジェシカの物語は、その洞窟の壁に投影された影 - 数学と現代の限られた物理学を道具として「心」を観察した結果 - から、「心」の本質に到達することへの希望と、限られた時間を生きるしかない諦観を感じさせて、本文を読み始める前からのどを締め付けられる。
現在、まだほんの1章の頭だけど「皇帝の・・・」では各所にちりばめられていたペンローズの議論における「立ち位置」が明確にされていく様が心地よい。
自分にとって良質な古典SFってのは、初期状態の微妙な違いとかデジタル計算機による丸め込みとかによって、"実地"とは異なってしまった、けど、"典型的"なシミュレーション結果にも似たものなのかも・・・等と思ったり。
前作と違わず、明晰で論理的で潔い文章はカッコ良く、これの後はもうマインドタイムには戻れそうも無い・・・